2009年12月25日

おせち料理と、おうちごはん

お正月、食卓に並ぶおせち料理。それは、その「家」のおうちごはんの晴れ舞台のようなものだと思う。

私の実家では、昔は大みそかの夜遅くまで店を営業しており、お正月は自宅でお雑煮を食べた後すぐに父の田舎へご挨拶に出かけて行っていたものだったので、私のおせち料理の基本の思い出は田舎でいただく昔風のおせち料理の数々と親戚一同で囲むすき焼きだった。そのため、私の記憶の中にあるおせち料理は母の味というよりは、むしろ、父の田舎の味ということになります。
ところが、結婚して同居していた主人の実家では(義父をはじめ主人も義弟も野菜嫌いでお肉でないとあまり食べない人たちだったので)「昔風のおせち料理を作っても、誰も食べない。喜ばないし、残って処分するだけなのでもったいない。」ということで、いわゆるおせちメニューの中でも焼き鯛やかずのこ、ごまめ、黒豆など家族が食べるものは用意するけれど、後は和風や洋風のみんなが喜ぶようなメニューをテーブルいっぱいに並べるための準備をするという義母の方針のもとで、年末年始を過ごしたものでした。

私には、「おせち料理のひとつひとつにきちんと意味があるので、それらが詰まったお重を親戚が集まるお正月には準備して、みんなを迎えるのがあたりまえ」という私の田舎風の考え方と、「作ってもみんなが喜んで食べないのなら、喜ばれるものだけを作って並べておくほうがいい。」という義母の考え方のどちらにも納得できるものがあり、どちらが正しいとか間違っているとかいう問題ではないと思っているのですが、それはその家のお雑煮がおすましかみそ仕立てなのかの違いにも似ていて、主人の実家のお雑煮はみそ仕立てがあたりまえで私の実家ではおすましだったということで”お雑煮はみそがあたりまえ。常識がない。”と義母に初めの年にきっぱりと否定された事は、私にとって強く印象に残ったものでした。

そして震災後に別居となり、私が年末年始に毎年作るおせち料理は、はるか昔の田舎の味を思い出すようなもの、同居時代に義母と一緒に作ったようなもの、そして実家の母の味に近いおすましや義母のようなみそ仕立てのお雑煮を3が日に取りまぜて...等と、いろいろです。
今は、お正月はお店も閉まってしまうような昔とは違い、デパートも大型スーパーも普通に開いていてなんでも買うことができるので、本来は年末に作り置きのお料理を作る必要がなくなりました。お正月から外食に出かけていけるおいしいお店も、いろいろあります。それでも、今もなお、あれこれ考えて私なりの手作りのおせち料理を用意する私がいます。

もちろん、お正月には両実家への挨拶まわりをするのですが、自分なりのこだわりを持っておられる義母もだんだんお正月の準備を大変に感じられるようになりながらも市販のおせち料理を購入するのでは落ち着かないとのことなのと、今も現役で大みそかまで自営の店で働いている実家の母はゆっくりと手作りのおせちを作る余裕がなく市販のものを購入しているのでなつかしい味付けのおせち料理を持っていくと喜んでくれるため、毎年年末には、私に出来る限りのものを作ってタッパに詰めて保冷バックで持ち運び、両実家にも持っていくことが恒例になっているからです。

そんな現在の私のおせち料理のモットーは、もんどで出会ったこの一枚の絵手紙です。
おせち料理と、おうちごはん

”私の味付けでいきます。よろしくね。”
そんな文面と共にお雑煮のイラストが描かれたこの絵手紙に初めて出会った時、ずっと、いろいろ複雑な思いを持ち続けていたおせち料理やお雑煮について、”あ、これでいいんだ…。”と安心するようなほっとした気持ちになれたのでした。スマイル

お料理の味付けには、正しいとか間違いとか、常識とかあたりまえとか、そういったものはなく、それぞれの作り手の気持ちや思いがこもった味付けがある。そして、その視線の先には、手作りのお料理を食べさせたい人の笑顔がある。
そんな思いがこめられて並べられたお料理があって、食べる人たちの笑顔とだんらんがある風景こそが、なによりのごちそうなんじゃないかな…と、私は思います。

将来、私の子供達が家庭を持ち、それぞれの配偶者や孫たちと共に我家を訪ねて来てくれるようになる頃、どんなおせち料理を作っているのかは、まだ、わかりません。
ただ、その頃にはまた、我家の子供たちのご主人や奥さんや孫たちみんなの笑顔を思い浮かべながら、(状況によっては、市販のものも取り入れながら)楽しく私なりのおせち料理を準備し、作り続けていたいなぁ…と、願っています。ニコニコ




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